天穏の新酒です。
■コメント
米 島根県産五百万石 精米60% 酵母 7号 度数 17%
メロンの様な芳香、口中のサバケも良く涼感ある瑞々しく清らかな味わいにフレッシュな酸や新酒らしい適度な渋さも心地よくあと味のキレも良い上品な仕上がりです。
今年の詳細は以下に杜氏のコメントを記載しました。
速醸 7 号 五百万石60% 無濾過 生原酒 16.5%(瓶詰時 0.9%加水)
R7BY の新酒のリリースです。
◎要約
・R7BY 新酒「天穏 新米初生酒 新稲嘗 2026」は、若手育成と無窮天穏との差別化のため 突きハゼ二日麹の山陰吟醸造りに変更しました。
・名称の「新稲嘗(にいなめ)」には、神事から日常まで続く「共に嘗め合う(共感する)営み」という日本酒本来のメッセージが込められています。
・この酒は製造技術と環境と香味を一致させる手法で、二日麹由来の清らかで青い香り、 繊細な甘旨味とキレを併せ持つエレガント&ソリッドな味わいに仕上がっています。
以下、詳細。
◎概要
若干のリニューアルとして天穏 純米無濾過生原酒から天穏 新米初生酒 新稲嘗(にいなめ)2026 と名称を変更しています。スペックや表ラベルの変更はありません。
製造方法としまして、近年は突きハゼ三日麹で製造していましたが今期は突きハゼ2日の 山陰吟醸造りに変更しています。
理由としまして無窮天穏シリーズの3日麹と明確に差をつけたいということと、製造スタッフがかなり若返ったため基本的な山陰吟醸の酒造りをして育成を進めることが理由となります。
彼らの若く青い部分と新酒の青冴えした香味が合致するように直観したために同調させま した。酒造りと環境、その香味を一致させることが私の醸造スタイルです。
主な製造スタッフには板倉酒造の跡取り息子、広島の盛川酒造の息子を修行で受け入れて おり、加えて飛良泉から移籍してきた 20 代の蔵人がいます。蔵を継ぐ 2 人と専門杜氏を目 指す 1 名ということで、せっかく私の元にいるので彼らには日本酒とは何なのか、なぜ新酒が重要であり、酒造りの手法が重要であるのかを理解して酒造りに関わってもらえるよ うに、無濾過生原酒の新酒ではなく「新稲嘗(にいなめ)」という名称を付けてコーチして いくことにしました。
◎新嘗について ご存じの方もいらっしゃると思いますが新稲嘗ではなく正しくは「新嘗(にいなめ)」であり、稲の文字は本来はいりません。
しかし直観的にこちらのほうがわかりやすく日本酒や 新酒の意味をとらえられると考え、稲の文字をいれて造語として製品名に使用することにしました。
新嘗とは、文字通りに新たに嘗め合うという共感の意味が込められています。新嘗祭や大 嘗祭といった言葉を聞いたことがあると思いますが、これは神(祖霊+自然)に対して新 米、五穀、作物を備える神事(縁起儀礼+予祝儀礼)のことを言います。 神事の効果として、神への米と酒の贈与によって、人と神と関係性を構築し、一緒に酒を飲んで踊る神楽を行うことで人と神が嘗め合い共感し、その両輪の力によって日本の営み を継続させてきたという背景を以前よりお伝えしてきました(※新嘗≒直会)。
日本は 11 月 23 日に天皇陛下が日本人の象徴(百姓)としてこの神事を行います。自らが育てた新米と酒を祖霊や産土神に贈与して神と嘗め合います。 全国の主要な神社でも同様のことを行いますので、この日は日本の1年で最も重要な祝日として勤労感謝の日となっています(戦前は祝祭日の新嘗祭だったが敗戦により祝日となり名称変更された)。
◎毎日起こっている新嘗の仕組み
新嘗とは、何も神事に限ったことではありません。この考えは、単に古事記や神事の話ではなく、私たちが毎日行っている食事や挨拶といった営みにも共通するものです
人間は誰しも細胞分裂と睡眠によって肉体も精神も毎日入れ変わります。営みとは停滞で はなく、絶え間なく変化する外的環境と自身の情報交換によって自動的ないしは意図的に維持される能動的な仕組みを持っています(=オートポイエシス/ホメオスタシス/新嘗)。
ですから私たちは定期的に隣人と一緒に食事をしたり酒を飲んだり、遊んだり挨拶したりして人や社会や自然と絶えず新嘗し続けている訳です。
今回の新稲嘗の名称変更や2日麹への変更も、私と若い蔵人たち、そして激動の日本や日 本酒業界への新嘗として、自分が無意識的に必要に駆られて行うことを決めたと感じてい ます。 新嘗とは聞きなれない言葉かもしれまんが、その構造は私たちの食事や睡眠や挨拶、祭りや遊びといった日常の営みそのものです。その営みを円滑にするために酒もまた存在し、 その酒造技術もその営みに沿ったものであれば、酒の本質が醸せるというのが私の超思想 ドリブンな縁起的醸造法です。
この天穏の新稲嘗という新酒は、山陰吟醸の清らかさと柔らかさ、2日突きハゼ麹がもた らす青い香り、繊細で深い甘味と旨味、キレの良さ、強さなどはこの新嘗の仕組みとその 営みを想像させて直観させる味わいとして機能していると思います。 理屈や背景は抜きにして、この酒を自分の営みの一節のなかで飲んでいただけると自分の新嘗機能が良い具合に高まって穏やかに気持ちになるんじゃないかと期待しています。 久しぶりの2日麹での吟醸造りでうまくいくかわかりませんでしたが上々の出来です。山陰吟醸や昔でいう味吟醸の世界観です。久しぶりの感じでとてもうまいです。
◎テイスティング ※原酒 17.5%で上槽 2 日目テイスティング 香:柔らかなイソアミル、とても清涼な香り、エステリー、青葡萄の青い香り(4mmp)、 あわさって森の山水のような香り 味:清らか、キレイ、吟味の含み香、麹の青い香り、4mmp の青い香り、突きハゼの甘旨 味、キレ、柑橘の酸、やや酸、強さ、強くないが苦渋の締まり ◎2 日突きハゼ麹と3日突きハゼ麹の違い 2日突きハゼ(天穏シリーズ)…低 α アミラーゼ、中 G アミラーゼ、低 ACP(タンパク分解 など)。清らかでキレある酒。日本刀。エレガント&ソリッド(ELEGANT SOLID TASTE)。明瞭な酒。
3日突きハゼ(無窮天穏シリーズ)…低 α アミラーゼ、中 G アミラーゼ、中~高 ACP(タンパク分解など)。旨味の強いアミノ酸増強。苦味の強いアミノ酸減。清らかで深い余韻のある酒。エレガント&アーティスティック(ELEGANT ART TASTE)。抽象的な酒。 ◎ひとまず純米 1 号のシングルタンクでリリースします。なくなって需要があれば純米2 号であらたに詰めます。 ◎昨年同様に純米3~純米6で出来の良いタンクをセレクト6(シングルタンクで1本分) でリリースします。春の月とともに 2 月の案内になると思います。3 月の案内ではセレク ト9、セレクト7のリリースもお伝えします。 ◎本年も大変お世話になりました。米の値上がり、酒の値上げ、日本の停滞など、外的環 境が大きく変わってきており、私たちの生活の新嘗機能が追い付かない状況になったこと で酒販業の皆様も販売や運営にご苦労が多いかと思います。そんな中でこのお酒を薦めて いただき、ありがとうございます。 今回の新嘗の話のように、厳しい環境の中でも私たちの営みは必ずそこに適応するように なっています。環境に合わせて常に変化し続けることが営みであり、酒や直会が存在する 理由でもあります。 こんな時代でも出雲大社は過去最高の観光客で、そのほとんどが日本人。先月の出雲神迎 祭は出雲に降りた神々と人間 1 万人以上が出雲大社まで大行進する状況だったそうです。 この景色を見ていると、まだまだ人々のあいだにすでにあるつながりを思い出そうとする動きがあることを感じます。 私たちの造る酒がそのきっかけの1つとなれるように、なるべく純粋で澄んだ酒造りがで きればと思っています。その酒が人とともに、食事とともに、祭りとともにあれば厳しい 外的環境とも新嘗できる群れをつくるはずです。春まで酒造りをして皆様にいい祭りがで きるような良酒をお届けしたいと思っています。またよろしくお願いいたします。
出雲杜氏 小島達也
■おススメの飲み方
少し冷して
・蔵元名(所在地):板倉酒造(有)(島根県)








