コラム

純米酒の保存方法とは?日本酒との関係性も踏まえて解説

日本酒はお酒の中でも、ワインと並んで繊細なお酒といわれています。

また、日本酒と一括りにしても、実は様々な種類があり、保存方法も異なるのが特徴です。

特に、開封した日本酒の場合、保存方法を誤ると美味しさを損なってしまうお酒もあります。

しかし、純米酒の保存方法を知らない人も多く、適当に保存しているというケースも少なくありません。

この記事では、純米酒の保存方法を解説するとともに、日本酒との関係性にも触れていきます。

純米酒の保存方法を知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。

 

 

純米酒と日本酒の関係

純米酒の保存方法を知る前に、日本酒における純米酒はどのような立ち位置なのかを簡単に把握しておきましょう。

 

純米酒の定義とは

純米酒は、米と麹のみを原料とした日本酒のことを指します。

酒税法では、米麹を15%使用することや、米は農産物検査法で三等以上に格付けされたものと定められており、これらを満たさない日本酒は純米酒といえません。

以前は、精米歩合まで決まっていましたが、現在は、原料の規定内であれば精米歩合がどうであれ純米酒と表示できます。

 

純米酒の特徴

純米酒の持ち味は、米や米麹本来の旨みや酸、深み、コク、等楽しめる点です。

本来の純米酒の味わいは自然の旨味そのもの。

蔵の味わいが正直にあらわれます。

まるで炊きたてのご飯を食べるように、お米の豊かな味わいを楽しみたい人におすすめの日本酒といえるでしょう。

一般的に辛口とお酒(ドライ)と呼ばれる酒でも飲んで自然な甘さを感じるのが純米酒です。

 

 

純米酒の保存方法について

米と米麹のみで醸す純米酒は、どのように保存したらいいのでしょうか。

保管リスクを避けることだけでは無く美味しく飲んで頂く為の記載も含め簡単に説明します。

 

常温保存で大丈夫

日本酒は全て冷蔵保存をするイメージがある方も多いでしょうが、一般的に2回火入れし、旨味がしっかりでお燗を意識した純米酒の場合は常温保存(冷涼)で良いでしょう。

常温保存し熟成させて、味の変化を堪能する方もいます。

健全な製造手法により醸した生酒、1回火入れ(ひやおろし等の生詰酒や華やか、ジューシーで冷やして飲むことを前提として醸した酒)タイプは冷蔵保管にて願います。

 

純米酒の保存に適した温度

酒質や酒のタイプにより保管温度は変わります。

ですが、先ずは一般的な火入れ純米酒を保存する場合は、15度程度温度に保たれた場所が適しています。

ご家庭の場合は直射日光やライトの当たらない冷涼な場所かセラーでも良いです。

(蔵内で熟成で味わい形成時、もう少し高い温度で保管する場合もありますし、四季の気温に合わせて保管する場合もあります)

なるべく温度変化少ない場所を選ぶことです。

 

たとえ、エアコンがかかった涼しい場所であったとしても、エアコンをつけずに暑い時間帯がある場合や、冷暗箇所ではあるけれど夜は極端に冷えるという場所も避けた方がよいでしょう。

基本は温度が低い温度帯ならば熟成スピードは遅く、高い温度帯は早まります。

熟成を基本としない綺麗で繊細な味わいを保つならば火入れ酒でも通年で冷蔵での保管をお勧めし、飲み頃がジャストであったり早めの酒は開栓後はお早めに飲んで頂き、また開栓しなくてもお早めに飲んで頂くことが良いでしょう。

このあたりのお酒による違いはお酒の専門店に確認すると良いでしょう。

逆に味わいしっかりしたお酒で、お燗前提のお酒の場合は同じく直射日光やライトは避け常温保管でも良いでしょう。

しっかりと熟成に対応し開栓してから空気に触れて酸化しながら味わいバランスが味覚的に広がる酒ならではの保管方法ですので全てのお酒が当てはまる訳ではありません。

(空気に触れて酸化することで角が取れ味わいが慣れてきます。

開栓したてより数時間、数日後の方が味わいが伸び、時間経過と共に味わいが味覚的に美味しく変化してゆくのです。

同じお酒も冷やした味、常温、お燗、それぞれ味わいが異なる様に に開栓後の時間経過の味変こそフレッシュと異なる魅力のひとつです。)

 

また数年間~数十年間の長期に渡り室温などの常温保管する場合は、酒質やタイプにもよりますが、最終的に紹興酒の様に枯れた様な味わいになるお酒もあります。

(ソトロンの甘い香りや香ばしく黒糖やスパイシーな香りや味わい)

同じ時間軸でもそこまで枯らさない味わいに味わいをイメージするなら、更に低めな冷涼保管の方が良いかもしれません。

この様に元になる酒質にもよりますが貯蔵環境によってその後の味わいの柄が変わってきます。

これらのお酒は直接、どのお酒が該当するのかお酒の専門店に確認下さい。

 

実はライトには注意

直射日光はもちろんですが、実は蛍光灯も要注意です。

蛍光灯が常に当たっている場所に保存すると早い段階で変色します。

純米酒は大なり小なり山吹色の色合いが淡かったり、濃かったりするお酒なので色合い変化はわかりにくいかもしれませんがライトや蛍光灯は注意下さい。

紫外線カットのライトやスリーブが付いているライトで遮光率100%近くが理想です。

通常時は直射日光の弊害同様、香りにも変化が起きますのでなるべく離して保管することがお勧めです。

常温保管可能なお酒ならば床下収納や引出しがある場合は、光も当たらず温度も一定に保ちやすいので活用しましょう。

 

匂いに気をつける

純米酒は、匂いを吸収する性質があります。

しっかり栓をしているからといって安心していても、強い香りのものと一緒に保存していると匂いが移る可能性は否めません。

開封後はなおさら匂いが移りやすくなるため、貯蔵場所の香りをはじめ石鹸や防虫剤などとは距離を置くように心がけましょう。

 

冷凍庫での長期保存は向いていない

純米酒の楽しみ方の一つに、冷凍庫でシャーベット状にして飲む「みぞれ酒」があります。

暑い時期に、さっぱりとデザート感覚で楽しめるため、お料理の箸休めとして用いる人もあるでしょう。

ただし、一升瓶のまま凍らせると瓶が割れてしまう可能性があるため、他の容器に移してください。

このように、アルコール度数15度程度の純米酒は、家庭用冷凍庫でも凍るのが特徴です。

みぞれ酒を楽しむ程度ならいいですが、保存を目的として冷凍庫に長期間入れてしまうと、本来の味が崩れてしまう可能性が高いでしょう。

 

日本酒は立てて保存する

ワインの保存方法として、瓶を寝かせるのがいいという話を聞いたことがある人も多いでしょう。

これは、ワインボトルの栓として使われているコルクを乾燥させないためだといわれています。

純米酒を含む日本酒の場合は、ワインとは異なり、立てて保存するのが正解です。

蓋の材質が長期保存には向いていません。

そのため、寝かせて保存すると、キャップの部分がお酒に触れて味わい変化を起こしやすくなります。

開栓後はまた横に寝かす事によって空気に触れる面積が増えるので酸化をあまり好まない酒質の場合は避けた方が良いでしょう。

あと瓶は横の衝撃にも弱いので気を付けましょう。

 

日本酒セラーもおすすめ

家飲みが注目されている昨今、純米酒を含めた日本酒を各地から取り寄せて楽しんでいる人も多いでしょう。

しかし、一升瓶が増えて保存に困っている人も少なくはありません。

そこでおすすめなのが、日本酒セラーです。

最近は、家庭用のリーズナブルな日本酒セラーが登場しています。

大方、0度設定が可能なタイプを選べば、生酒の保存も可能で、純米酒に限らず様々な種類の日本酒の美味しさをキープできるでしょう。

また、頻繁に冷蔵庫を開け閉めする家庭では、冷蔵庫保管が適した純米酒を冷蔵庫に保存したとしても、温度変化により味わいバランスが崩れる事もありますのでご注意下さい。

酒質にもよりますが、お燗酒向けででゆっくりと味わいをのせてゆく酒の場合はセラー保管にこだわらなくても良いでしょう。

 

 

純米酒が劣化してしまった場合

様々な理由でお酒が変化、劣化してしまうこともあります。

そんな時は、他の使い道をするのもおすすめです。

 

純米酒が劣化したサイン

飲んだ際、味わいが崩れたりダレてたり、本来、白濁していない酒がモヤっと白い澱が出たお酒は劣化しているとみてよいでしょう。

(茶色い澱は旨味の結晶なので振れば溶けてゆきまたお酒に馴染みます)

 

劣化した純米酒の使い道

純米酒が劣化してしまい、品質には問題がないものの、飲みたくないと思った時は、料理酒として使うのも一つの方法です。

料理に使う素材の風味を引き立てる役目を果たしてくれるでしょう。

実は自然の旨味たっぷりなので、調味料としての役割も果たします。

また例えば肉や魚等をお酒で拭いたり漬け込んだりして旨味もコクも増し柔らかくなります。

スーパー等で販売している料理酒は塩分があるので異なります。

また、ご飯を炊く際に、活用するのも一つの手段です。

お水に加えて、少しだけ純米酒を垂らすと、炊き上がりがふっくらします。

お米から作られた純米酒だからこそできる活用方法といえるでしょう。

ただし、あまりたくさん入れすぎると、純米酒の香りがご飯に残るので要注意です。

品質には問題がないものでも、お酒によっては香りや、甘みが料理の風味のバランスを崩す場合もあります。

使う料理に合わせて考えて使ってみてください。

また香味に異常が無くもやっとした白い澱の様なものが出た場合(タンパク混濁)は60度位にお燗して白濁が消えればたんぱく質による起因です。

もちろん飲んでもらっても構いませんし気になる方は澱部分を除いてみてください。

 

 

純米酒を飲もう!

いかがでしたでしょうか。

この記事をお読みいただくことで、純米酒の保存方法についてもお分りいただけたと思います。

純米酒はデリケートな日本酒であり、適正な方法で保存することが大切です。

開栓前はもちろん、開栓後の純米酒を美味しく飲むためにも、ぜひ気を配ってみてくだ先述したように空気に触れた後に味わいがしっかりと整うお燗を前提とした純米酒などは「酸化=劣化」ではなく「酸化+熟成」となります。

もちろん、冷蔵保存で抜栓後に数日で飲み終えるのがベストの品質で販売されているお酒も多くあり、そういったお酒は大変市場を賑わせています。

ただし、それだけが「=日本酒」ではありません。

日本酒という伝統文化の歴史は非常に長く日々進化し続けています。

飲みやすさや綺麗さ,甘さや華やかさある白ワインの様な日本酒だけでは無く、芳醇な赤ワインでコクや深み、複雑味ある懐が深い赤ワインの様なお酒で、しかも冷やすだけでなく温める温度という立体的な表情が出来る日本酒にもしっかり触れ合って頂くと楽しさや食との相性が広がってゆきます。

次から次に異なるお酒を飲む事だけでは無く一つ一つのお酒としっかりと向き合い、温度を変え、肴を変え、器を変えて楽しんで頂く事がお酒を体感する事かと思います。

様々な楽しみ方がありますが、この様な楽しみ方もお忘れなく。

 

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