今期の馨は例年とは異なった味わいです。
■コメント
酵母 島根k1&島根k101号
以下、せっかくなので杜氏からのメッセージを記載します。
春の月とおなじように馨は全体的にアルコールが高くて19%を超える原酒が多くなりました。
その割には柔らかいk1の含み香や k101の品のあるマスカット系の香りもあり純米吟醸らしさがしっかりと出ていました。
しっかりとキレたので吟醸感が出ないかなと心配していたのですが、含香で程よい香りと3日麹の旨味があり、シャープさやキレがあって、非常に飲み重ねできる、燗できる、疲れないと、実に馨らしい馨になりました。
薫香やアルコールが高い分の苦味がありますが、無かったらないでナヨナヨした印象の酒になるのでそれもまた良い感じです。
気候や今年の米質の影響から出てきた酒なので、同条件にならない限り、来年、同じような酒は出来そうにないのですが、杜氏になったばかりの頃の強い酒質と、柔らかさや奥行きや余韻を重視するようになった令和時代の酒質との融合のような香味でいい酒でした。瓶貯での成長もかなり期待できるので長く飲んでいただきたい酒です。
香り:低い香り、みずみずしい香り、米麹の甘い香り、少し薫香
味:綺麗さ、水の良さ、清潔さや品のある密度あるやわらかい甘旨味、マスカット系の香り、酸味のある果物の香り、去年の馨と同じで麹の甘旨味、酸、香りが合わさって含味が一瞬スモモミルクキャンディ(花のくちづけ)の味になる。さりげなく高級アルコール(渋み)と脂肪酸(重み)と薫香があるがこれが良い。
非常に綺麗に良く飲める酒でオールラウンダー。
切れが良いのにアミノ酸系の甘味と含味があるのでとても多く飲める純米吟醸です。低グルコース、低フェロモン、低アミノ酸なのに綺麗で柔らかさがあっていい酒でした。1火瓶貯の熟成が楽しみです。
■おススメの飲み方
常温又は少し冷やして
・蔵元名(所在地):板倉酒造(有)(島根県)
・使用米:五百万石
・精米度合:60%