酒のはしもと代表が語る!おすすめ純米酒11選

—酒屋万流 それぞれの蔵が醸す味わいをじっくり味わう—

酒造りへの想いや取組は蔵それぞれで魅力は様々。またお酒は温度や食、器など飲み方を変えるだけでも味わいのバリエーションが広がるもの。数ある蔵の中からどのお酒を選べばいいのか悩んでしまいますよね。

そこで今回は、日本酒好きな酒のはしもと特集編集部が、おすすめの純米酒を種類別(純米酒や純米吟醸ごとに)お聞きしました!
ぜひ参考にしてみてください!

酒のはしもと代表の正木さんが思う日本酒の魅力

編集部:本日はインタビュー、よろしくお願いします。

正木:よろしくお願いします!

編集部:さっそくですが、正木さんが思う日本酒の魅力、美味しさってなんですか?

正木:先ず一言で表すならば旨味です。日本酒は何といっても旨味。
舌で感じる5つの基本味「甘味・塩味・酸味・苦味・旨味」がありますが、特に旨味成分は豊富に含まれています。同じ醸造酒でもビールが1とするならば,ワインは3、日本酒は8も含まれているといわれています。

この豊富な旨味は日本酒ならではの麹や複雑な発酵等がもたらす力によるものです。旨さを大別すると、アルコールである「エタノール」、米澱粉を麹の酵素で分解し「糖類」に変えて酵母によって、アルコール、炭酸ガス、熱に変えつつ、乳酸や酒の旨味の重要な要素であるコハク酸等の「酸類」、そして相当量のグリセリンは甘さを出し、「アミノ酸」は膨らみある味わいや幅を醸し出します。
そして酵母のみならず、麹も寄与する「香気成分」など様々な要素が複雑に絡み合い旨さを造り出すのです。
様々な要素が重なる旨味の塊ともいえる日本酒。故に食の旨さと酒の旨さが口中で重なると更に美味しさが広がっていきます。
旨さに続いて大切なことは温度感。温めて美味しいかは酒によって向き、不向きはありますが、燗酒(かんざけ)を飲んでほしいです。
焼酎の前割りお燗やお湯割りなどもありますが、お酒を直接温めるスタイルは世界的に見ても稀です。

炊き立てのご飯がほっこり美味しい様に、お酒も温めると口中で甘みや美味しさを感じます。温かい酒は食の旨さを引き立てたり、食の脂を口中で切ったり、溶かしたり、唾液を分泌させ食欲を欲してゆくもの。(生ハムやチーズと純米燗酒は非常にわかりやすいですよ)
燗酒は既にお酒の温度が体温に近い状態なのでアルコールの吸収が直ぐに始まり酔い始めます。温かい酒は尖った酔いではなくほんのり、ほっこりと優しい酔い心地が続き、抜けてゆくので翌朝も元気に迎える事が出来ます。

お出汁を使った料理をはじめとする和食のみならず、洋・中・エスニック等を特にお燗で料理との相性が広がることも大きな魅力です。

編集部:お燗酒、ぜひ飲んでみたいですね。

正木: そして純米燗酒は平杯で飲んで下さい。
口がニッとしっかりと横に開きお酒が口中全体に行きわたります。味蕾で味わいを沢山感じ、捉えてくれます。
また口径が広いので温度も変わりやすく、燗冷ましなどの温度変化による味の変化も器内で楽しめます。
お猪口は狭めた口中でお酒が真っすぐ流れていくので、平杯と比較すると味蕾で味わいを捉らえ、同じ酒でも平杯で感じる味わいとは異なります。
器の形状によっても味わいが変わるので、それぞれ楽しんで比較しても良いですね。

編集部:器でも変わるんですね。

正木:形状や素材によって様々です。
杯だけでなく、例えば冷酒をぐいのみや脚無のグラスで飲んだ際、手で持つことでゆっくりと温度が上昇してゆくことで味わいの変化を楽しんだり、香りはグラスの傾斜度合いによって感じ方も変わります。
一方、陶器よりグラスは淵に食材の香りも付きやすいので途中で変える等、色々試しても良いでしょう。

そしてお酒は味わいを楽しむだけでなく、色合いも目で味わえるんです。
お酒自体、透明な印象があるでしょうが、貯蔵期間や仕込水、そして米と麹で醸したお酒なので大小色合いがあります。目でもしっかりとお酒を味わって下さい。
「いい酒は冷やしてのまなきゃもったいない」 なんて言葉を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことは全くありません。
温度による味わいの変化も魅力ですね。

編集部:  お酒の違いだけでなく様々な要素で味わいが変化するのですね。

こんな感じで、今日は以下の日本酒についておすすめのお酒を語ってもらいます!

今回の正木さんのおすすめメニュー

  • 純米酒おすすめ2本
  • 特別純米酒おすすめ2本
  • 純米吟醸酒おすすめ2本
  • 純米大吟醸酒おすすめ2本

正木:通常は種類に括ることはしませんが今回は便宜上分けてお伝えします。
お酒はそれぞれの良さや特徴があります。ぜひ種類やブランドの先入観にとらわれずに飲みましょう。
また今回は燗酒中心にチョイスしています。

【純米酒】おすすめのお酒2選

編集部:それでは、純米酒から教えてほしいんですが、「これがおすすめ!」というものはありますか?

正木:全部ですよ~(笑)

2種類ということなので今回は兵庫県と鳥取県のお酒を紹介します。
両方とも味わいはストロングスタイル!旨味はもとよりとろみや酸を感じるお酒です。

編集部:楽しみです!

純米酒①竹泉

編集部:ではさっそく純米酒の1本目の紹介をお願いします。

正木:はい。1本目に紹介したい純米酒はこちらの『竹泉』です。

編集部:こちらの純米酒はどんなお酒なんですか?

正木:兵庫県の酒で竹泉山田錦純米は蔵内常温保管の10年近い時の流れを経てじっくり熟成していることが特徴です。ビンテージシールが目印。シェリーや蜜の様な香りも感じ充分な飲み頃です。

アルコール度数14%は旨さの中にも度数による軽やかさもあり、練れて芳醇な酒ですが思わず杯が進んでしまいます。しかも一升瓶で本体価格1本2,200円で購入できるので気軽に楽しめる晩酌酒としてどうぞ。

編集部:お手頃価格ですね!

正木:誤解を恐れずに申しあげると、本来お酒はもっと価値が出て良いものだと常に考えていますが、このお酒は日常の晩酌でもお求めやすい価格であり、蔵の意気込みを感じます。 旨いを感じる気軽な酒。飲んで欲しい1本です。

おすすめの飲み方

編集部:竹泉のおすすめの飲み方ってありますか?

正木:この竹泉はぜひ温めてお燗で飲んでほしいです。
日常の煮炊きもの等のお惣菜などと気軽に飲んで下さい。

『竹泉』をおすすめしたい方

編集部:竹泉はどんな方におすすめですか?

正木: 110年近い貯蔵酒の場合はお酒を飲みなれた方が良いとの思いがちかもしれませんが料理があればお酒の特徴と料理が上手く調和していきますので、様々な方に飲んで欲しいですね。

酒単体で飲む際と食しながら飲む際は味わいの感じ方が異なるので、自分には合いそうも無いかな?と思われる個性派のお酒も食しながら飲んだり、熱燗や燗冷ましなど温度を変えたり、器を変えてのんだり。とにかく銘柄に捕らわれずぜひ発見、体感下さい。

編集部:ありがとうございます!

芳醇な香りとうまみが楽しめる『竹泉』の商品詳細

 

純米酒②日置桜

編集部:では、次におすすめの純米酒を教えてください。

正木:次におすすめなのは、こちらの『日置桜』です。

編集部:こちらの純米酒はどんなお酒なんですか?

正木:日置桜は鳥取の酒蔵さんが醸しています。このお酒はきもと造りという江戸時代に製造方法が確立された製造手法で醸されています。
複雑で立体感ある味わいとエッジの利いた酸。

押しの深みやじわっとした旨さ。しっかりとキレがあります。

きもと特有の味わいと日置桜ならではの味わい共にマッチした酒です。

編集部:すごくおいしそうですね!

正木:このお酒、個人的には結構晩酌酒として飲んでいるかもしれませんね。
蔵が取組むお酒を更に美味しくする取組は細かく沢山ありますが、例えばひとつピックアップすると原料米農家さん達のそれぞれが栽培したお米を他の栽培家同志でブレンドすることなく、生産者ごとの同品種を単一単位でお酒を仕込みます。

つまり農家さんの原料米における特徴や味わいはそのままお酒に反映され、特徴を引き立てます。

お酒自体に酒米生産者の名前も記載しているので農家さん毎の違いを楽しむことも酒の楽しみに繋がりました。それぞれの特徴をしっかりと味わい表現しているのです。

おすすめの飲み方

編集部:日置桜のおすすめの飲み方ってありますか?

正木:健全に発酵し適宜熟成した日置桜は「飲むとお腹が減る酒」。
少し熱めのお燗で更にグーグーお腹空かして飲んで欲しいですね。
肴も酒も思わず進みますよ!まさにやめられないとまらないお酒です(笑)

『日置桜』をおすすめしたい方

編集部:日置桜はどんな方におすすめですか?

正木:米の旨味や酸、キレや深み、奥行き、立体感ある味わいはお燗で料理と共に味わえば百人力!
もちろんどんな方でも良いですが、あえて申しあげるならば様々な深みや酸のある味わいの赤ワインを飲みなれた方に飲んで欲しいです。

お米の味わいを余すことなく感じられる『日置桜』の商品詳細

【特別純米酒】おすすめのお酒2選

編集部:おすすめの純米酒の紹介ありがとうございました。
次に特別純米酒のおすすめです。その前に、特別純米と純米は何が違うんですか?

正木:違いとしては、蔵内のノーマル純米と比較して特別なお米であったり、特別な造りであったり…簡単に申し上げるとそんな感じです(笑)

編集部:なるほど!そういった違いがあるんですね。
それではさっそく、とっておきの特別純米酒の紹介をお願いします!

正木:もちろん!次は福岡県と島根県のお酒を準備しています。

編集部:ありがとうございます!

特別純米酒①大地

編集部:それでは、おすすめの特別純米酒を教えてください。

正木:はい、おすすめの1本目のお酒は、こちらの『旭菊 大地』です。

編集部:こちらはどんなお酒なんですか?

正木:大地もお米がポイント。海や緑が豊かな福岡県の糸島地区、古川さんという農家さんが栽培しています。ジャンボタニシなどを使用し除草した無農薬山田錦で醸します。程よい米の旨味と7号酵母らしいふくよかさがあるお酒。
何度かエリアの田圃もお邪魔し、田植えの真似事をさせて頂きましたが、大地という名前の通り豊かな自然の恵みを味わえる酒ですね。

あとラベル裏の文言にも惹かれるんです。(実際の文言は現物でご確認ください・・・!)

蔵元である原田社長も何と言いますか非常に独特な方でこの方の人柄が味わいに表れているのだなあと感じます。

編集部:お人柄も味わいなんですね。

正木:ネタ的な話ですが特にお燗酒の蔵は蔵元のお人柄とお酒の味わいや温度感が一致してますね(笑)。蔵のお人柄がそのまま味わいに感じると言いますか(笑)
人間臭いとでもいうのでしょうか? 私たちは人の想いや熱量があるそんな覇気のあるお酒を皆様へお伝えしたいですね。
本来お酒がもっているべき個性や特徴を、皆様に味わいや美味しさとしてしっかりとお伝えしたく思います。
現代では良い酒は沢山あるのですが、覇気のある酒は本当に数少ないかと思います。

おすすめの飲み方

編集部:大地のおすすめの飲み方ってありますか?

正木:このお酒もあたためて飲むほうがおいしいですよ。
米の味わいや本来の甘みをじわっと味わいたいならお燗でどうぞ。
ぼくも先日も燗酒7合ほど飲んだんですが、冷たい状態だったら絶対飲めませんよね。途中からひっくり返ってます。
燗酒は楽に飲めてしまうので…(笑) あとは一緒に飲む人や肴が揃っていればついつい…

編集部:翌日も楽に迎える事が出来るのですね。

『大地』をおすすめしたい方

編集部:大地はどんな方におすすめですか?

正木:あえてどんな方というのであれば、柔らかさの中にもふくよかさがある味わいなので、お燗にあまり馴染み無い方やお食事の前半から中盤にかけて飲んで頂きたいお酒です。
身体に寄り添う酒ですよ。

味の幅が広く柔らかい味が特徴の『大地』の商品詳細

特別純米酒②扶桑鶴

編集部:では、次におすすめの特別純米酒を教えてください。

正木:次におすすめなのは、こちらの『扶桑鶴』です。

編集部:こちらのお酒はどんなお酒なんですか?

正木:扶桑鶴は島根県の石見地方で造られたお酒で、清流日本一の高津川伏流水を使用したソフトながらも旨さある味わいが特徴です。
優しくて柔らか、ほっこり。キレもしっかり感じ、米の旨味や味わい・色合いも楽しめます。わかりやすさや派手さはなく、身体に、食に寄り添う、飲み飽きしない酒です。

編集部:優しくて柔らかなお酒なんですね。

正木:我々は沢山の酒蔵へ表敬訪問させて頂く際に毎晩、皆様と飲み語らいます。
さすがに毎晩続くと内臓は疲れていきます。そんな時はこの扶桑鶴をお燗で飲むと疲れを吹き飛ばすほどの優しい旨さを感じますが、ついつい杯がすすみ、結局いつも通り飲みすぎてしまうのです(笑) 蔵元も酒の様に癒し系です(笑)

おすすめの飲み方

編集部:扶桑鶴のおすすめの飲み方ってありますか?

正木:こちらは熟成期間が短い生酒タイプロットの場合は冷やしても良いですが(通常時、春に生酒が出荷されますが2022年は出荷しません)、通常タイプの火入れ酒はもちろんお燗がおすすめです。

『扶桑鶴』をおすすめしたい方

編集部:扶桑鶴はどんな方におすすめですか?

正木:飲み疲れした時にも寄り添う酒ですし、あえて申しあげるならば燗酒ビギナーの方や最初の一杯目に飲みたい方でも良いですよ。お料理と一緒に寄り添いながら飲んで欲しいです。

まろやかでほっこりする口当たりの『扶桑鶴』の商品詳細

【純米吟醸酒】おすすめのお酒2選

編集部:特別純米酒2本の紹介もありがとうございました。
では次に、純米吟醸酒のおすすめも教えてください!

正木:純米吟醸は綺麗で上品なイメージもあるでしょうが、味わいある純米吟醸をお薦め致します。
今回はフレッシュでシュワシュワ元気な活性にごりや時の流れを経た食中で旨い純米吟醸です。

編集部:それは興味がありますね。

純米吟醸酒①秋鹿 霙(みぞれ)もよう

編集部:さっそくですが、おすすめの純米吟醸酒を紹介してください。

正木:まず 1本目の純米吟醸酒は、『秋鹿 純米吟醸にごり生原酒 霙(みぞれ)もよう』です。

編集部:こちらの純米吟醸酒はどんなお酒なんですか?

正木:秋鹿酒造は大阪の山間部でもある能勢地区に蔵があり、酒米栽培から取組む農醸一貫蔵です。
精米した米糠や籾殻、搾った酒粕などを使用し発酵堆肥を造る。酒造りの副産物を使用した米栽培を行います。
特に自営田は無農薬で取組むなどストイックな栽培。

米の力を信じ、米の旨味と酸のある酒で左右されない酒造りを心掛けている蔵です。
活性濁りの霙もようは瓶内で2次発酵しているのでシュワシュワとした飲み口が楽しめるので面白いですよ!
酵母由来の香り、味わいに厚みもありながらもあと味は軽快で甘いシュワシュワタイプのにごりとは異なるややドライなにごり。
また個体差はありますが開栓時は1800mlの場合は太目なピン等で穴をあけてガスを抜きゆっくりと開栓していきます。
720mlはキャップを少しずつ緩めてガスをしっかりと抜いて、落ち着いたら栓を開きます。そのまま開栓すると思わず噴き出てしまう危険(?)なお酒です。
必ずしっかりと冷やして開栓してください(吹き出す危険あり)

編集部: 活性にごりは色々楽しめるお酒ですね。

正木:はい。開栓後3~4週間放置していたらいつの間にかキャップがどこかに飛んでいっていることもあります(笑)冬から春にかけての季節酒です。

おすすめの飲み方

編集部:秋鹿 霙もようのおすすめの飲み方ってありますか?

正木:これはしっかりと冷やして飲むほうがおいしいですよ。
フルーツと合わせても良いですし、酒の中にタップリとフルーツ入れて飲んでもよいですし(サングリア的なイメージ)、乾杯がてら最初の1杯目にもどうぞ。
シュワシュワ口当たりもいいのですが度数も高いので飲みすぎには充分ご注意下さい(笑)
手で器を少し温めながら飲むと米の味を感じ、冷えた味わいとは違った顔がありますよ。

『秋鹿 霙もよう』をおすすめしたい方

編集部:秋鹿 霙もようはどんな方におすすめですか?

正木:活性にごりなので、酵母や食物繊維はまるで飲む美容液?と勝手に呼んでいるので(笑)
飲む美容液がお好きな方にどうぞ!!

二次発酵によるシュワシュワとした飲み口が特徴的な『秋鹿 霙もよう』の商品詳細

純米吟醸酒②独楽蔵

編集部:では、次におすすめの純米吟醸酒を教えてください。

正木:次におすすめなのは、こちらの『独楽蔵』です。

編集部:こちらの純米吟醸酒はどんなお酒なんですか?

正木:独楽蔵は先ほど紹介した『大地』と同じく、福岡県の久留米の酒蔵、杜の蔵さんで醸されたお酒です。お米も大地と一緒で山田錦の里として知られる福岡県の糸島地区の山田錦。
熟成を追求し、円熟した円やかな旨味ある味わいです。純米吟醸といえどもフレッシュで冷やして美味しいタイプから時の流れを経たお燗で美味しいお酒まで様々なタイプがありますので。ヴィンテージ標記されていて現在出荷分は(2022年3月上旬)2015年の醸造年度です。

編集部:同じ純米吟醸酒でも、お米の味わいをしっかり残せるのはどうしてですか?

正木:簡単に申しあげると、沢山お米を磨くとお酒は綺麗になります。
円熟した味わい、旨さのあるお酒にするためには、製麹を始め様々な細かい取組を行い、発酵・貯蔵・熟成を得る事によって味わいが整います。

5年以上の工夫したタンク貯蔵手法で時の流れを経てはじめてこの味わいになります。
色合いも黄金色。しっかりと照りがあり、相当量の粘性があります。日本酒度で言えば辛口(この表現法は適切ではないですが…)といわれる部類ですが、自然な甘さを味わえます。
計って辛くて、飲んで甘い。良い純米酒の条件のひとつなのではと思います。
懐の広さが、現代の様々な食幅にしっかりと対応できるお酒かと思います。

おすすめの飲み方

編集部:独楽蔵のおすすめの飲み方ってありますか?

正木: このお酒は温めることで味わいが開きます。ぜひ平杯でお燗を飲んでほしいです。
また他方、大ぶりのグラスにお酒を注ぎ、手でグラスを温めて円熟したな香りや味わいを常温で楽しむ飲み方もあります。
とろみや丸み、まろやかな味や色をしっかりと楽しめます。

『独楽蔵』をおすすめしたい方

編集部:独楽蔵はどんな方におすすめですか?

正木:当店の場合、コンテストの良しあしによって選択やお勧めすることは全く関係ないのですが、このお酒は世界にまたがる女性のワイン専門家の方々によるフェミナリーズ世界ワインコンクールの日本酒部門の金賞を受賞したようです。
女性のプロの方々に評価頂いていることは大変喜ばしいこと。若くて綺麗で飲みやすいお酒がお好みと思う勝手な女性に対するこちらの日本酒飲酒感かもしれませんが、芳醇で円熟したお酒も女性の方々にしっかりと評価されているようなのでぜひ女性の方々にもアテと共にしっかりと飲んで頂きたいですね。
フェミナリーズでは常温での評価対象かもしれませんがぜひお燗でもお試しください。

現代の食事にもあった深みのある『独楽蔵』の商品詳細

【純米大吟醸酒】おすすめのお酒2選

編集部:純米吟醸酒の紹介もありがとうございます。
最後に、純米大吟醸酒のおすすめも紹介してください!

正木:はい、最後に紹介する純米大吟醸酒は2本とも埼玉県の神亀酒造さんで醸されたお酒です。

編集部:ぜひ紹介をお願いします!

純米大吟醸酒①ひこ孫 純米大吟醸

編集部:それでは、おすすめの純米大吟醸酒の紹介をお願いします。

正木:まず紹介するのは、『ひこ孫 純米大吟醸』です。

編集部:こちらの純米大吟醸酒はどんなお酒なんですか?

正木:ひこ孫純米大吟醸は、「純米酒といえば神亀」と呼ばれる埼玉県の蔵。
先代の純米酒造りや普及にかける想いから様々な蔵の方々が純米燗酒に取り組みはじめたといっても過言ではありません。
私も亡き先代には純米酒をはじめ沢山のことを教えて頂き、学ばせて頂きました。あまり出来は良くなかったでしょうが(笑)
当店の純米燗酒の取組は先代のお陰ともいえます。
いまでは当代がしっかりと受け継ぎ、普及、発展、向上に努めています。
お酒は8~9年ほどじっくり氷温で熟成させているので綺麗で繊細な口当たり。ふわっとするような味わいが特徴ですがしっかり奥には力強さや深み余韻がしっかり存在します。
綺麗で飲みやすかったり、香りに惹かれたり、純米大吟醸のイメージ感は皆さまそれぞれあるでしょうが、旨さや温度という日本酒としての良い所をしっかり兼ね備えた味わいのお酒ではないでしょうか。

編集部:お酒って長期間熟成させればさせるほどおいしくなるんですか?

正木: 一概にそうではないですが、フレッシュさを目的としたお酒はお早めに飲んで頂き、その美味しさを味わって頂きたいですし、一定期間やそれ以上の熟成で美味しさが整うお酒ならば時間経過後、出来栄えを味わって下さい。
お酒は単に寝かせれば良いわけではありません。どの様な酒質にするかによって、製造手法だけでなく保管や出荷管理手法等も変わります。
タンク貯蔵が良いのか・瓶貯蔵が良いのか・冷蔵保管が良いのか・常温または冷涼保管が良いのか…それぞれの目的や現状によって保管方法を変えてゆきます。お米栽培から出荷に至るまで手間をかけて醸していると思えば美味しさも倍増ですね(笑)

おすすめの飲み方

編集部:ひこ孫 純米大吟醸のおすすめの飲み方ってありますか?

正木:華やかさが表に来るお酒では無いので料理にしっかりと寄り添う純米大吟醸です。食中としても楽しめるので最初の1杯目に限らずどの様なシーンでも楽しめます。
私は毎年、お正月にパートナー飲食店様から購入したとりなべや年越しそば、おせち等と一緒に飲んでいます。大晦日、元旦でついつい1800mlを1本飲み切ってしまうのです。おせちをはじめ、お出汁をしっかりととった料理等とも好相性です。
ゆっくりと上げた45度のお燗で飲むと至福のひと時です。
温めるときは湯煎でゆっくり、ゆっくりと付けて下さいね!柔らかくお燗が味わえます。
(湯煎でついた徳利等を温め、取り出し、温め取り出しを繰り返し、ゆっくりと45度まで上げていきます キッチン温度計等も活用下さい)

『ひこ孫 純米大吟醸』をおすすめしたい方

編集部:ひこ孫 純米大吟醸はどんな方におすすめですか?

正木:お燗で口当たりが柔らかく優しい味わいなので、肴と共に日本酒初心者の方にもおすすめですし何かお祝いや節目で飲むのも良いでしょう。
男女問わず、幅広い世代の方にもおいしく飲んでいただけるでしょう。

長期熟成で柔らかい口当たりに仕上がっている『ひこ孫 純米大吟醸』の商品詳細

純米大吟醸酒②時のながれ

編集部:では、次におすすめの純米大吟醸酒を教えてください。

正木:次におすすめなのは、こちらの『時のながれ』です。

編集部:こちらの純米大吟醸酒はどんなお酒なんですか?

正木:こちらも神亀酒造さんの更に長期に熟成したお酒。先ほどのひこ孫と相対する味わいの純米大吟醸。神亀酒造の先代が昭和59,60,61年度醸造の純米大吟醸を3種ブレンドし味わいを相互補完。更に複雑味を打出しています。先ほどのひこ孫純米大吟醸とは貯蔵期間が異なり、保管方法も氷温貯蔵で無く、蔵内の冷涼場所にて保管されており氷温貯蔵とは異なる複雑な味わいや香り、甘さが形成されています。

琥珀色の色合い、ナッツやキャラメル・黒糖等の甘い香り、複雑味・深く自然な甘み・奥行きある味わいとトロッとしたトロミが特徴です。超長期熟成な故、ポートワインやシェリー等に含まれるようなソトロン(香り成分)も楽しめます。

編集部:約40年……!すごいですね!

正木:先代社長は純米酒、純米燗酒の為に身を粉にして蔵のみならず、農家を育み、酒販業者や飲食店等、多くの方々を引き付ける方だったんですね。
だからこそ更に、非常に価値観溢れる1本です。
神亀酒造の先代が責任もって管理しましたという文言も泣かせます。
私にとっても様々なシーンを思い出す1本ですし、節目や大切な方と共にチビチビ飲んで欲しいお酒です。

おすすめの飲み方

編集部:時のながれのおすすめの飲み方ってありますか?

正木:常温を手で温めて飲んでも勿論美味しいですし、45度位に温めて飲むと甘さや深みがふわっと広がるまさに贅沢な1本。
奥行と幅のある味わいはまさに人生観そのもの。麹・米で醸し、発酵、熟成、数十年の時の流れを経た最高のブレンド酒。これらの存在感あるお酒はお酒を越えたニッポンの宝といっても過言ではないのではないかと思います。銘柄だけでなく、歴史や想いあるお酒をリスペクトする価値観が生まれるといいですね。

『時のながれ』をおすすめしたい方

正木:どんな方でも良いです。嬉しい時や悲しい時、人生の転機など、ぜひこの酒を少しずつ味わって下さい。飲んだら何とも言えない位に幸福感で満たされます。

こだわりぬいて約40年間長期熟成させた『時のながれ』の商品詳細

今後の酒のはしもと

編集部:最後に、今後の酒のはしもとについて正木さんからお客様に向けてメッセージをどうぞ!

正木:そうですね。
ぼくたちは、魅力的な純米酒や本格焼酎などを世の中の皆様にお伝えすること、そして一緒にその魅力をお伝えしていただく方を育てる活動を行っています。
酒屋は、酒蔵と飲み手や売り手をつなげていく役割があると思っていて、そのためには飲み手さんにお酒のことを知っていただくことはもちろん、知っていただく機会を設けることも重要だと考えています。
酒屋さんからお酒を買う方ももちろんいらっしゃいますが、デパートや飲食店などで購入する方も多いので、販売店の方々もしっかりお酒の魅力を伝えていただけるようにしていけたらいいですよね。
また、最近では海外の方でも日本酒をたしなまれる方は増えてきているので、海外の方々にも日本酒の魅力やリアルなお話をきちんと伝えていくことが大事だと思っています。

編集部:ありがとうございました!

今回紹介した日本酒一覧

酒名(URL) 種類 おいしい飲み方
竹泉 純米酒 熱燗
日置桜 純米酒 熱燗
大地 特別純米酒 熱燗
扶桑鶴 特別純米酒 熱燗・冷酒
秋鹿-霙もよう 純米吟醸酒 冷酒
独楽蔵 純米吟醸酒 熱燗
ひこ孫-純米大吟醸 純米大吟醸酒 上燗
時のながれ 純米大吟醸酒 熱燗

 

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